教授挨拶

中嶋博之 教授

中嶋博之 教授

2017年8月に埼玉医科大学国際医療センター心臓血管外科教授、診療部長に着任いたしました。
私は、平成7年に千葉大学医学部を卒業し、外科研修を受けましたのち、卒後3年目から大阪の国立循環器病センター(現国立循環器病研究センター)の門を叩きました。レジデントとして心臓血管外科医としてのトレーニングを開始しました。レジデントと専門修練医として5年間経験を積み、その後スタッフとして8年8か月間勤務いたしました。
この間、臓器移植が開始となったほか、医療安全など、医療を取り巻く環境は目覚ましい変化を遂げました。未だ心臓移植が法整備される前にも関わらず、拡張型心筋症や手術後の低心機能に対して、体外式の補助人工心臓で長期間の補助を行うなど、新しい医療への情熱と高い志を継続することとチームとして挑戦する姿勢に感銘を受けました。通常の心臓大血管手術も数多く行われておりましたので、技術を効果的に身につけることができただけでなく、同時に、デスクワークとしても、国際学会での発表、英語論文の習慣などが自然と身につきました。また、医療安全や感染対策、チーム医療といった課題にも、重点的に取り組んでまいりました。
2011年1月より埼玉医科大学国際医療センターに着任いたしました。症例数が増加し、心臓移植が再開となり、JCI認証を病院全体の目標を共有することで団結し、ここから急速に最先端の病院組織が形作られ、施設としての志の高さの重要性を再認識いたしました。

手術症例数から見ますと、国内でも上位の施設となっていますが、数はひとつの指標に過ぎません。心臓血管外科では、最近数年の間に、体に負担の少ない手術やカテーテル治療(血管内治療)、生活の質(QOL)を重視した手術方法やデバイスなどが増えてきています。弁膜症に対する小切開での弁形成術や人工弁置換術(MICS)、小切開での冠動脈バイパス術(MIDCAB)、のカテーテルでの人工弁植え込み(TAVI)や大動脈ステントグラフト植え込み(TEVARあるいはEVAR)、重症心不全に対する補助心臓の植え込み(LVAD)などがその例です。現在、我々の施設では、心臓移植に至るまで、ほぼすべての選択肢を提供することが可能となっています。しかし、実際には、一人の患者さんに行うことのできる、選択できるベストな治療法は一つです。これからは、個々の患者さんについての理解を深め、最善の治療を提供できるか、また、病気や治療を理解していただき、患者さんの満足度をより高めることができるか、症例数だけでは表せない部分を追求していきたいと考えております。それぞれの患者さんにテーラーメードした最善の心臓大動脈手術・外科治療を提供することが目標です。同時に、どのような患者さんにはどういった外科治療がベストであるかを、データとして国内・国際学会で発表し、血の通った臨床研究、論文作成を進めていきます。

さらには、医療スタッフの働き方にも常に改善の余地があります。我々は、患者さんのための苦労を厭うことはありません。一方で、効率的効果的な環境整備で、きつい、苦しい、拘束時間が長いなどのイメージから脱却し、出来うる最高の治療成績を維持しながら、職場の医師、スタッフの負担をいかに軽減して効率的な労働環境、教育・育成環境を構築できるか、この点にも挑戦していきたいと考えております。スタッフの経験や年次、興味の対象、得意や適性など多様なニーズに合わせ、多様性を認め合う公平公正な職場環境を構築し、臨床的あるいは学術的な仕事の分担とシナジーのあるチームを提供できるようにしたいと考えています。

これからも、高い志を持ち、個々の患者さんに最善の治療を選択し、虚血性疾患、弁膜症、大動脈疾患、移植など重症心不全治療を提供することで、埼玉県あるいは北関東エリアの最後の砦として、地域の皆様に貢献してゆくとともに、後輩を育成し、臨床研究から心臓血管外科学の進歩に力を尽くしたいと考えております。

埼玉医科大学国際医療センター 心臓血管外科
中嶋 博之

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